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マンガのキャラクターにもなる「かずさん」って誰?

はじめに

スーパーに行けば、にんにくはすぐ手に入ります。当たり前のように棚に並び、何の疑問もなく買い物かごに入れられていく光景は、ごく普通の光景です。でも私はそんな「当たり前」では終わらせたくない。

令和元年まで鎌田農園では年間100万本以上の大根を生産し、関東や九州に市場を通して出荷していました。毎朝3時に起床し、夜遅くまで農作業に追われる日々。その努力は市場から「棚持ちが良い」と高く評価されていました。

それでも、実際に大根を食べた人の声が私の元に届くことはなかった。買う人にとっては「名無しの大根」だったのです。努力が評価されるのではなく、市場価格に左右される現実。そんな日々の中で、私は問いかけるようになりました。「このままでいいのか?」と。

美味しい野菜を作って、誰かを笑顔にしたい。そうして自分も農業を楽しみたい。人生をかけた野菜づくりで、誰かの心と自分の心を満たしたい。そう思っていたときに出会ったのが「にんにく」でした。


想いをかたちに

私が育てているにんにくは、ただの食材じゃない。北海道・十勝という大地が持つ豊かな気候、澄んだ水、そして昼夜の寒暖差。それらが作物に与える影響は大きく、特ににんにくにとっては「味わい」や「香り」の決め手になります。

でも、自然の力だけでは本物の味には届かない。畑に向き合う人間の目と手、日々の観察と積み重ねがあってこそ、そのひと粒に“力”が宿ります。

食事を通して、健康や幸せを手にしてほしい。すべての人に、本物を。それが、私が畑に立ち続ける理由であり、鎌田農園としての信念です。


かずさんって誰?

私は北海道・十勝で農業を営む鎌田和志と申します。でも、『十勝ひとりぼっち農園』という漫画を読んだ方には、“かずさん”という名前のほうが馴染みがあるかもしれません。

週刊少年サンデーの同作品には、私が“かずさん”として登場しています。漫画の中では、横山園長が農業で困ったときにふと現れて助言をする、そんな存在として描かれています。

実際も同じで、私は彼の農作業を付きっきりで教えるようなことはありません。基本的なことは伝えますが、あとは本人が考え、手を動かすことが大事。そうでなければ、その人自身の農業にはならないと考えているからです。

農業には正解がない。それぞれが自分の答えを見つけていくからこそ面白い。だから私は「こうしなさい」とは言わず、困っていればヒントを出すし、危険を感じたら「やめとけ」と伝えるようにしています。

ある年、横山園長が「明日カボチャの種をまこうと思います」と言ったときがありました。週間天気予報を見ると発芽時期に高温がぶつかると予想され、「やめた方がいい」と伝えました。実際その通りの高温に見舞われ、種まきを延期した判断は正解でした。

こうした判断は、長年の観察と経験からくるものです。土の匂いや風の流れ、雲の動きなど、目に見えない変化を感じ取る力は、自然と対話し続ける中で養われていきます。

漫画の中でもそうした部分が丁寧に描かれ、「かずさんみたいな人がいてくれたら」と言っていただけることもあります。

私はただ畑と向き合っているだけですが、そこから何かを感じ取ってもらえるなら、それは本当にありがたいことです。


“かずさん”と漫画の世界

『十勝ひとりぼっち農園』に登場する“かずさん”は、私がモデルです。作者である横山園長とは、実際に十勝の畑で関わりがありました。彼が農業に挑戦する中で、私は必要なときに助言をしてきました。

私は彼のそばに付きっきりで指導したわけではありません。農業は人から教わった通りにやるだけでは身につかない。自分で考え、失敗し、また挑戦する。その繰り返しの中にこそ、自分だけの農業が見つかると思っています。

漫画でも、私はそうした立ち位置で描かれています。困ったときにふらりと現れてヒントを出す。ときに笑いながらも、伝えるべきことは伝える。その距離感が、現実と漫画で自然と重なっていたのかもしれません。

読者の方から「本当にかずさんっているんですね」と声をかけていただくこともあります。漫画を通じて農業や私に興味を持っていただけるのはうれしいこと。でも私は、毎日畑に立ち、にんにくと向き合い、天候や作物の声に耳を澄ます、ただの農家です。

それでも、漫画をきっかけに出会った人が私のにんにくを食べ、「おいしい」と感じてくれたなら、それは私にとって最高の循環です。

夫婦で行うにんにくの作業風景

鎌田農園のにんにくが、ちょっと違う理由

にんにくは強い作物です。土の中で力を蓄え、厳しい環境に耐え、収穫を迎えます。そのひとかけには、農家のこだわりが詰まっています。

北海道・十勝の昼夜の寒暖差は、作物に甘みや旨みを与えます。でもそれだけでは、本当に美味しいにんにくにはなりません。

私は収穫時期、乾燥方法、保存温度など、細部にわたって試行錯誤してきました。乾燥一つとっても、風の通し方や温度管理で味が変わります。黒にんにくも、30日以上かけて発酵させ、毎日香りと熟成を確認します。

にんにくは手間をかけるほど、味で応えてくれる。だからこそ、私は今も一つひとつ自分の手で選び、箱詰めしています。

見た目には表れない違いが、味にはっきり出る。その違いを、食べて感じてほしいと思っています。


農家として伝えたいこと

農業に「唯一の正解」はありません。でも私は、作物がのびのびと育ち、ストレスなく健康に成長できることが正解だと思っています。

ただ、そのための方法は年ごとに、場所ごとに異なります。天気、土、虫の動き、刻一刻と変わる条件。その都度の判断が、収穫時の出来に直結します。

私は収穫の瞬間に正解を実感します。にんにくを引き抜いたときの重みや香りが、うまく育ってくれた証。作物には元々のポテンシャルがあります。それを最大限引き出すことこそが、農家の仕事だと思っています。

こうした考えに至ったのは、大量出荷の大根づくりを経験したから。以前は年間100万本を出荷していました。でも、都市部中心で地元には届かず、誰がどんな顔で食べているのか分からない。想いが伝わらない野菜に疑問を持つようになったのです。

だからこそ、にんにくを選びました。食卓に元気と喜びを届けてくれる野菜。味に妥協せず、名前を出して届ける。私が納得できる味だけを送りたいと思っています。

野菜はただの栄養ではなく、食べることの喜び、人生の豊かさを届けるもの。そう信じて、日々にんにくと向き合っています。

最後に

私は畑で働いています。風に吹かれ、土に手を入れ、葉の色を見て、小さな変化を感じる毎日。

にんにくづくりは簡単ではありません。天候、病気、作業のタイミング——ほんの少しの差が、すべてを変えてしまう。それでも、この仕事が好きで続けています。

「かずさんのにんにく、美味しかった」「黒にんにくで元気が出た」そんな言葉をいただけるたびに、また頑張ろうと思えるのです。

派手さはない。でも、食卓の片隅で誰かを支える。そんな野菜が作れるなら、それが私にとって最高の報酬です。

北海道・十勝で育てた、私のにんにく。
どうか、一度味わってみてください。きっと、にんにくの印象が変わるはずです。


Lサイズ6個入り 至高にんにくの商品画像

芳醇な香りと豊かな風味
鎌田農園の至高にんにく
個数:Lサイズ6個
価格:3,500円(税込・送料別)

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